【お話】ゴミ収集車のホワイト
ある日、真っ白なゴミ収集車のホワイトがやってきたのは
とてもカラフルな街でした
空は青、地面は茶に緑、花は赤に白に黄色、家はピンクに黄緑、歩く人達はオレンジ、白、紫
それはそれは、色とりどり
働くゴミ収集車も、みんな自由に色を纏い、誇らしげ
白なんて、僕くらい…
ホワイトはとても恥ずかしくなりました
他のゴミ収集車も、白なんて、と、言っています
翌日から、どうにか自分に似合う色を探そうと、色々な、色をまとうホワイト
今日は空を真似て、真っ青に
今日はトレビーさんの服を真似てオレンジに
次から次へと色を変えるので
誰もそれがホワイトだと気づかず
毎日新しいゴミ収集車が混ざっているなと
思っていたした
今日は赤、今日は橙、今日は黄色に、明日は青
毎日毎日違う色を纏うので、ホワイトはいよいよわからなくなります
も~!わかんないよ!
毎日色んな色をまとうから、ホワイトの体はめっちゃくちゃ
まだらにシマシマ、水玉ぐるぐる
いったい何色なのか、誰なのか、もう誰にもわかりませんでした
そこに現れたのは、真っ赤な服着た小さな女の子
あれあれ?あなたは、真っ白な体が美しかったホワイトさん?
この街には、白なんてないじゃない?みんな競ってカラフルカラフル!だからあなたの白は、とても美しかったのに…どうしてそんなにハチャメチャ!?とってもとってももったいないわ
ホワイトはびっくり
私が、美しいですって?!
なんの色も持たない私が!?
何を言ってるの?白も立派な色でしょう。白だから、色々な色を纏えたのでしょう
白は美しく強い、あなたらしい色よ
あなただけの、唯一の色を、どうか忘れないでね
どうか、生まれ持ったその色を大切にしてね
女の子はそれだけ言って、緑のワンピースを着たママの方へ走っていきました
ホワイにとって、この街でカラフルでないことを肯定されたのは初めてでした
心も体もポッカポカ
ぶるぶるぶるると、体をふって
纏った色を弾き飛ばします
黄色の太陽、青い空の下に現れたのは、カラフルな街の唯一の白
ホワイトには、一番しっくりきました
ほーーうっと暖かいため息をついたホワイトは
これから毎日、胸を張って、街中のゴミをあつめていきました